よこみち珍道中 三峰山編 第8話 ピンピン虫と物足りない山頂 後編

今年もまた、花粉との戦いの日々。



毎年、プール開きの頃まで赤い目と水っパナのよこみち。
誕生日に友人のれがからもらった、鼻の穴に挿入するタイプのマスクを使ってみました。
U字形のプラスチックの両端に、直径1cmほどのフィルターが、まるでしめじのかさのようについてて、それを鼻の穴に突っ込むわけですが。



すっごい違和感。



平凡だっていいじゃない、だって凡人だもの。
よこみちです。



いよいよ当事者しか読まなくなったようです。
そのうち、書いた本人も読まなくなるでしょう。
よこみち珍道中、三峰山編第8話。
それでも続きます。






食事のあとのコーヒーを愉しもうと、再びガスストーブに火を点けるmark-na。
今回は、ガスストーブの三方を囲う、ついたてを持ってきていて。
朽ちかけた木材の上にガスストーブを置き、それを囲うように鈍い銀色の風防を設置していたんだけど。



あれ?



その風防、模様なんかあったっけ?



さっきまで銀一色だった風防の外側の面。
下の方に点々と小さな黒い模様がついている。
1mmくらいの、細長い点々。



近付いてよく見てみると。



…動いた!



ゴマよりも小さい粒。
それが、歩いたりはしないで、不意に現れたり、忽然と消えたり。
ピンピン跳ねるように移動しているようだ。



あ、もしかしてこれが。



「そう、これこれ。
さっき言うてた、ピンピン虫やわ」



ダニの一種なんだろうけど、こんなにいると気持ち悪い。
さっきのmark-naの話では、このアブラムシより小さいピンピン虫たちが密集して、水溜まりのようになっていたというんだから…。
何千、いや何万と集まった細かい虫たち。



想像するとかなり気持ち悪いな。



ピンピン虫が混入していないか確認しながら、コッヘルの中を睨みつつコーヒーをすするよこみちとmark-na。



はぁ。



コーヒーは美味しいけど、なんだろうこのやるせない気分。



道中、みどころも特になく、山頂では見晴らしの良くない湿った板の上で、妙に生活感あふれる昼食。
そして、ピンピン虫の混入を心配しながらのコーヒー。



…えっ、と。



これで来た道を戻っていって、今日はおしまい?



物足りない!



そりゃもう、全然足りてない!



残尿感に満ちたよこみちの不満顔をみて、時計を一瞥してから提案するmark-na。



「意外と時間あまったから、八丁平に寄っていこうか」



いよっ、待ってました。



八丁平が何なのかも知らず、喜ぶよこみち。
たとえ期待はずれでも、このまま引き返すよりはマシだろう。



枝に掛けたシャツや道具類を回収し、名残惜しさのまったく残らない山頂をあとにするよこみちとmark-naであった。



つづく!

ピザハッソー!

どーもどーも。



格好よく言えば中庸。
ありていに言えば平凡。
よこみちです。



先日、宅配ピザを頼んだ時のこと。



よこみち家では、おもにドミノピザかピザハットに頼むんですが。



今回もドミノピザに注文。



ぴんぽーん。



はいはーい。



財布を手に出迎えるよこみちの後ろから、ニタローがトコトコとついてきて。



「ピザハッソー!」






…ドミノピザです。



やけに気まずい思いをしたよこみちでした。

よこみち珍道中 三峰山編 第7話 ピンピン虫と物足りない山頂 中編

もうすぐ小学生になるイチヒメに子供部屋を用意するため、物置部屋を改革中。
よこみちの画材など、今は使われていないものたちが安置してあったので、新しい移住先を求めておおわらわです。



灯を見るより平凡。
よこみちです。



毎度お馴染み、だれもが読み飛ばすネコマタギ的冒険活劇。
よこみち珍道中、三峰山編第7話。
はじまり、はじまり。






三峰山山頂には、一等三角点というのがあって。



まあ、一等だからといって、どう、ということもないんだけど。
別に、名峰だから一等、てわけでもないし。
だいたい40km四方にひとつずつ、全国で1000ヵ所くらいあって、それ目当てに山を登るひともいるらしい。



たしかに、一等、って聞くと、何だか得したような。






むぎゅ。




さて、と。



昼食をとるのに、なにか腰掛けるところがあれば良いんだけど。



山頂付近を見まわしても、ベンチも手ごろな石もない。
地面は湿り気を帯びていて草もまばら。
じかに座り込むのは少し遠慮したいなぁ。



レジャーシートみたいなのでも持ってくれば良かったか。



見晴らしの良い位置から少し離れたところで、mark-naが手まねきをしている。
すっかり葉の落ちた木の根元あたりに、スノーボードより少し長いくらいの大きさの板が落ちている。



板は少し朽ちはじめていて、これまた湿ってはいるものの、地面に直接座り込むよりはマシかな。



張り出した枝に、汗で湿ったシャツを干すmark-na。



お。
細い枝でも、意外としっかりしてるもんだね。



よこみちも、レインコートを脱いで枝に掛け、湿ったシャツを着替えると、ザックに入れてあったダウンジャケットを取り出して羽織る。



曇り空で陽は当たらないし、冷たく湿った空気なので乾くはずはないけど。



横を見ると、mark-naがザックの中身を次々と枝に掛けていて。



多分、奥の方にしまい込んだものを出そうとしているんだろうけど。
湿った地面にじかに置きたくないだけなんだろうけど。


…なんだろう。



アウトドアというより。



もっと別の、どこかで見たことのあるような状況。



何かを思い出そうとするよこみちをよそに、てきぱきとガスバーナーに火を着け、お湯を沸かしはじめるmark-na。



その前かがみにしゃがみこんだ背中に、なぜか漂う哀愁。
そして、妙な生活感。



…あ。





この光景はまさに。



公園で自炊するひと、だ。



思わず口に出し、ひとしきり笑ったものの。
取り返しのつかない台無し感と、なぜか漂う妙な生活感のなか、カップヌードルをすすりこむ三十路男子ふたりであった。



つづく!

コララインとボタンの魔女と私

右足の付け根あたりの、腰というかおしりの辺りに鈍い痛みが。
一昨年の富士登山の時に苦しめられた、アレが再発しそうです。



ほら、あれあれ。



なんとかコツ神経痛。



あ、そうそう。



ザ・骨神経痛



ダイソーに売ってそう。



週間凡人ランキング堂々の第1位。(よこみち調べ)
よこみちです。



先日、映画の試写会をconaが当てたので、イチヒメとニタローをconaが連れてって。
コララインとボタンの魔女】という映画を観てきた、とのこと。



女の子が扉をくぐるともう一つの世界があって。
その世界のパパとママがやけにやさしいんだけど、なぜか目がボタンになってて。
女の子も目をボタンにすれば、もとの世界に帰らなくても良くなる、と執拗に迫ってくる、といったオハナシ。



ちょっとホラー仕立てで、イチヒメはけっこう恐がってたようで。



後日。



例によってTVゲームのやめどきに駄々をこねて叱られるイチヒメ。
よこみちもいいかげん叱るのに飽きてきて、ぐだぐだと説教をしていると。



conaが顔を隠したまま近づいてきて。



「いいのよぅ、イチヒメちゃん。
歯も磨かなくていいから。
お菓子食べる?
朝まで一緒にゲームしよっか」



猫なで声でイチヒメに話しかけるconaの顔には…。



「ぎゃああっ」






まぶたの上に、大きなボタンを貼りつけている、お茶目なconaなのでした。

貞子、貞子、貞子!

conaが、友人の結婚式二次会のビンゴで、DSiをもらってきました。



おおむね平凡。
ときどき幸運。
よこみちです。



とあるシャンプーのCMで、長い髪のお母さんに抱っこされた男の子の笑顔が、アップで映るシーンがあるんですが。



そのさらさらなお母さんの後頭部を見るたび、ニタローがTVを指差して。



「アタマちゃうで、おカオやで!」






幸せそうなシーンが急にホラー。



怖いわ!

よこみち珍道中 三峰山編 第6話 ピンピン虫と物足りない山頂 前編

何度も同じことで叱られるイチヒメ。
こりゃ普通に叱ったんじゃ効果薄いな、と思い。



「パパはもう怒るの疲れたから、パパをやめるわ」



と、よそよそしい態度で優しく接すると、叱ったときより大泣きされました。



ただ事じゃないほど平凡。
よこみちです。



さすがに記憶が薄れてきましたが、いまだに昨年11月のことを書き続けています。
よこみち珍道中、三峰山編、第6話です。








オトナが手を伸ばせば、一番上の枝に手が届きそうな低い木々が、すっかり葉を落として静かに立ち並んでいる。
地面は、落ち葉のじゅうたんに覆い隠されて。



木々は、密集することなくある程度の間隔を保って、見通しの良い林を形成している。



しゃくしゃくしゃく。



歩くたび、心地よい音を立てる落ち葉。



厳冬期にはこの低木の枝々に空気中の水分が付着し凍り付き、霧氷に飾られた低木の回廊に変身するわけだ。



うーん、見てみたくはあるけど。



今は葉もすっかり落ちてハダカの木々に、想像の中で霧氷の衣裳を着せながら歩くよこみち。



「そういえば」
と不意に話しはじめるmark-na。



「こないだ、知り合いと山に行った時やねんけど。
こんな落ち葉のとこに、赤黒い水溜まりみたいなんが点々とあって」



ふんふん。
なんやろ?



「よく見たら、ダニみたいに小さい虫が、地面が見えないくらいに密集してて」



うわぁ、気持ちわる。



「その小さい虫が、ピンピン跳ねるみたいに移動するから、ピンピン虫って呼んでたんやけど」



やけど?



「そんとき一緒に行ったうちのひとりが、あやまってそのピンピン虫のかたまりに足を突っ込んでてしもうて」



ぐわあぁぁ。
聞いてるだけでさぶいぼ出るわ。



「大変やったでぇ」



そら、気ィつけなあかんなぁ。



などといいながら進むと、やがて少し開けた場所に出て。



「山頂みたいやね」



mark-naの視線の先に、看板が見える。



看板には、三峰山頂の文字。



おぉ、着いた着いた。



空は一面、厚い雲に覆われて。
北側の展望がひらけているものの、初冬の曇天では景色も今ひとつ、ぐっ、と来ない。






むむむ。



やっぱり霧氷の季節以外は、みどころがあまりないみたいだ。
行程の半分くらいは、下草すらない、ありきたりな杉林だったし。



内心がっかりしながらも、そんなことを口に出すと今日いちにちがまるで台無しになってしまうことぐらいわかっているオトナなふたり。



「よーし、メシにしよう」



いよ、待ってました。



つとめて明るく振る舞うよこみちとmark-naなのであった。



つづく。

ああベタな間違い

先日、USJに行ってきました。



行く前から、パーク内の食べ物が高い割においしくないとか、そのせいでパークの外で食事をとる人が多くて売り上げが落ちたのか、パークの再入場が禁止になったらしいけど、それは努力の方向が違うんじゃないかとか、いっかい見たらもうええわ、てなるアトラクションが多いとか、スヌーピーの着ぐるみが可愛くないだとか、不満たらたらだったのですが。



行ってみたら存分に楽しんでいる自分がいました。



洗練された平凡。
よこみちです。



イチヒメとニタローの通っている保育所には、お帳面といって、その日子供がどんなふうに過ごしていたか、といったことを親と先生とが書きこむ、交換日記のような連絡ノートがあって。



conaが笑いを噛み殺しながら、
「これ見た?」
と、お帳面の先生が記入したところを指差して。



なになに?
ニタローが、USJに行ったことを先生に報告してくれた、といったような他愛ない内容が書かれていて。



ん?
これがどうかしたん?



「よく見て。
銀行で一日遊んだことになってる」



と、噛み殺していた笑いをこらえ切れず、ぷーっと噴きだすcona。



あ、ほんまや。
USJじゃなくて、UFJになってる。



ベタな間違いだけど、子供連れが日がな一日銀行で遊んでいるところを想像すると、かなりシュール。



ん?



お帳面を見ていたよこみちの視界に飛び込んできたのは。



先生が書いた文章の前。
conaの書いた文章の中ほどに、conaの字ではっきりと書かれた『UFJ』の文字。



思わず笑い崩れるよこみち。
conaも自分の間違いに気付き。



「ウチが間違えてたから、先生合わしてくれたはったんやわ、恥ずかしっ!」






赤面しきりのconaなのでした。