よこみち珍道中 三峰山編 第2話 遥かなる登山口 中編

気が付けばもう年の瀬。
時の流れは速いもので、あんなにちっこかったイチヒメも、来年には小学生。
うれしい反面、何だか淋しくも感じられます。



いかがお過ごしでしょうか。
当代随一の凡人、よこみちです。



さてさて。
前回から始まりました、よこみち冒険活劇、三峰山編。
誰にも楽しみにされてないようですが(conaですら読み飛ばしている)、将来酒でも呑みながら自分で読み返すためだけに書いてるわけだから、気楽にいきましょう。



第2話です。






ガイドブックには、369号線から林道に、と書いてあったものの、分岐がわからず368号線まで出てしまったよこみちとmark-na。
いったん道の駅御杖まで引き返し、地図を見なおすことに。



「この、駐車場がある【みつえ青少年旅行村】ってのがナビに載ってないんよなぁ」



mark-naのカーナビは古く、ここまで来るにも、新しいパイパス道路をことごとく無視していたのだが。



「この、【奥村青少年旅行村】てのがアヤシイな。
そんな近くに旅行村をふたつも作ったりせぇへんやろ」



それもそうか。



「いちおう誰かに訊いてみよう」



車を降り、道の駅の前で何やら台車を押している職員っぽいおっちゃんに話し掛けるmark-na。



「すいません、三峰山の登山口へは、どう行けば良いですか?」



おっちゃんは、よこみちたちがもと来た道を指差し、
「おぉ、ほれやったらその、前の道を右いって、ちょっと行ったらちっちゃい橋あるから、橋渡ったら左まがんねん」



「ありがとうございます」



やっぱり看板見落としてたみたいやね。



「でもおかしいな、ふたりして見落とすか?」



まぁまぁ、とりあえず行ってみよう。



車に乗り込み、来た道をとって返すよこみちとmark-na。



しばらくいくと、小ぶりの川に短い橋が架かっている。



でも、登山口と書いてある看板は見当たらない。



え、と。
ここで合ってんのかな?



橋の手前に、観光客向けの看板があるけど、どこにも登山口とは書いてない。



「…あ。
右上の方に、青少年旅行村って書いてあるわ」



よく見ると、確かに小さく、青少年旅行村の文字が。



…て、こんなちっちゃい字、普通に車乗ってたら気付かへんて!



矢印どおりに川沿いを南に曲がったら。



道が狭い。
しかも目の前で分岐。



看板もないし。



あれ?



関係ない村落に迷い込んだかな。



さっき熟読したガイドブックには、三峰山は樹氷が有名で、厳冬期にはバスツアーもある、て書いたあったと思う。
だいいち、林道って書いたあったけど、明らかに林道じゃないし、辻ごとに案内の看板がある、て書いてあったけど、まったく見当たらない。
ほかにでっかい道があったんちゃう?



「まぁ、とにかくこのまま川づたいに行ってみよう」



今にも行き止まりに突き当たりそうな、川と民家の間の細い道を、分岐のたびに不安にかられながらもしばらく進むと。



ガードレールに、小さな看板が。
全文は読み取れなかったものの、みつえ青少年旅行村とか、登山口がどうとか書いてあった。



うおお、この道で合ってた。
安堵する三十路男子ふたり。



それにしても、案内が不親切過ぎやしないか?
登山口までの看板がこんな感じなら、山道もそうとう不案内かも。
気を付けねば。



やがて、A4の紙にプリントして貼りあわせたような、第2駐車場と書かれた看板。
どうやらこの先に、青少年旅行村があるらしい。



少し先に、道の上に架かるアーチ状の看板が。




『青少年旅行村』



おぉ、着いた。



アーチの手前に、10台ほどの砂利の駐車スペースがあり、またもA4の紙にプリントして貼りあわせたような、一般車用駐車場の文字。
しかもそれが、アーチの下部に書かれた【おいでよ】の文字に一部かぶってしまって、【いでよ】になってる。



急ごしらえな感じの看板に何ら疑いをいだくこともなく、無邪気な三十路男子は【いでよ】の文字の前で、出でよ! て感じのポーズをとり記念撮影。



登山靴に履きかえ、いざ出発。



さてさて、車も無事目的地にたどり着き、ようやく歩き始めたよこみちとmark-na。
彼らを待ち受けるものは一体…。



づつく!