よこみち珍道中 三峰山編 第1話 遥かなる登山口 前編
最近よく観ているTV番組は【JIN】と【科学くん】と【鷹の爪】。
稀代の凡人、よこみちです。
気温もぐっと下がり、いよいよ冬の到来を感じさせる11月の末。
conaの試験も無事終わり、久しぶりに自粛していた山歩きへと繰り出しました。
相方はもちろん、毎回お馴染みのmark-na。
今回の目的地は、奈良は東吉野、三重との県境にある三峰山。
相変わらず予備知識すらナシで山に臨むよこみち。
どんな山に向かうのかまったく知らないまま、今回一番楽しみにしていたのは、例の同じデジカメをふたつ使った、なんちゃって3D写真を撮ること。
はてさて。
毎回トラブルなしでは終われない、冴えないふたりの三十路男子冒険譚。
はじまり、はじまり。
まだ薄暗さの残る午前6時30分。
冬とはいえ暖かい日が続いたため、若干の油断が見られる服装で近所のコンビニに向かうよこみち。
前日の天気予報では、曇り。
そのわりに雲はなく、息も白くならない程度の気温。
良い天気だ。
mark-naと合流し、ふたりを乗せた車は、一路奈良へと向かう。
吹田から近畿道に乗りしばらく南下すると、雲ひとつない快晴の空に朝日が昇り。
おお、天気予報もアテにならんな。
などと喜ぶふたり。
松原から西名阪に乗り、天理も過ぎて針ICに到着。
この頃になると、南の方から少しずつ雲が増えはじめている。
ん?
暖かい車内で油断していたよこみちが、窓の外の異変に気付いた。
田畑が、やけに白っぽい。
朝露にしちゃあ、白いな。
なんだかキラキラしてるし。
…霜か!
よこみちの住む地域では、厳冬期でもめったに霜は降りないから、動揺の色が隠せないよこみち。
こんな服装で、大丈夫かな。
ふと前を見ると、道路脇に立っている電光掲示板には。
『凍結注意! 2℃』
2℃!?
いつの間にか空は一面の曇天。
むむむ。
何だかやな予感。
…あれ?
道、違わへん?
カーナビの指示では、ひとつ前の交差点で左折、との表示。
「あ、ほんまや」
車をUターンさせて、カーナビの指示どおりしばらく進むと。
「いやでも、こないだ近くの山行ったときには、あんなとこで曲がらんかったんやけど…」
と、自信なさげにカーナビを見つめるmark-na。
「…あ、これ」
なになに?
「名張のほうに大きく迂回してるやん!」
うはぁ。
縮尺を変えると、無駄に大きく迂回しているピンクの道程。
「…次の道で369号線に戻ろう」
せやね。
カーナビに翻弄されながらも、本来のルートに戻って先を急ぐmark-naの車。
天気はいよいよ怪しく、今にもパラパラと降りだしそうな雲行き。
路傍に、また電光掲示の立て看板。
『凍結注意! 1℃』
ああっ。
さらに1℃下がっちゃった。
ますます先行き不安な展開。
やがて、そろそろ369号線からの分岐があるあたりまでさしかかった。
ガイドブックによれば、369号線から林道に入り、青少年旅行村というとこまでは、辻ごとに看板が出ているらしいけど。
…看板なんて、見当たんないなぁ。
やがて、左手に道の駅があり、それを通り過ぎると。
青い方面案内の看板には、368の文字。
…ん?!
行き過ぎた!
どうやら看板を見落としたらしい。
さてさて。
まだ目的地に着く前から、早くも波乱の予感を孕みながらも、今回の旅は幕を開けるのであった。
づつく!