水が出る筆

どぅーも。
100年にひとりの凡人、よこみちです。



穂先から水が出る筆がありまして。
要は、筆ペンの中身が水になってるようなやつですね。
筆洗バケツが要らないので、それとパレット状になっている乾燥絵の具さえあれば、どこでも水彩画を描けるというスグレモノ。
安いし、筆先もしなやかで描きやすい。



ある夜。



その、穂先から水が出る筆で着彩していると。



「水、いらへんの?」
不思議そうによこみちの手元を見るイチヒメ。



そうやで。
筆のなかに水が入ってんねん。



得意げに説明するよこみち。



「じゃあ、イチヒメがおおきくなって、パパがいなくなったらそれちょうだい」





…ん?



いなくなって?



それって、パパが死んだら、形見として筆をくれ、ってこと?



縁起でもないこと言わないの。