伊吹山ヒルクライム顛末記、自転車乗りたちのヴァルハラ

ケータイを机から床に落としてしまって。
普段なら何てこたぁない程度だったんですが、どうやら打ちどころが悪かったらしく、画面がホワイトアウト



ひとばん経てば直るかな、なんてのんきに構えてると、画面の端にタータンチェックの表示される領域ができました。



…だめか。



ちょっとお洒落でしたが、やむなくDoCoMoに入院。



Enjoy our 平凡。
カタヒジ張らずにいきましょう、よこみちです。



さてさて、ようやくゴールまで書いた伊吹山ヒルクライム顛末記。
お気付きの方もおいでのようですが、ここで終わるならよこみちが書く意味がない。
レースが終わっても続きます。



なぜなら。



家に帰るまでが伊吹山ヒルクライムですから!



足の痛みもおさまり、ようやくまわりの状況を見渡す余裕が戻ってきたよこみち。



サービスエリアの駐車場みたいなところに、無数の自転車乗り。
駐車場の中央には、表彰台があると思われるブースがあるけど、こちらは裏側なのでよくわからない。
各クラスの優勝者たちの名前とタイムが読み上げられている。



その表彰台を取り囲むようにいくつかテントがあり、そこでスタート地点で預けたリュックを受け取る。
ひとまず自転車を邪魔にならないところに置き、一息つくよこみち。



もう4月だってのに、日の当たりにくい斜面には残雪もあり、風は冷たい。



念のため、と思ってリュックにねじ込んできたユニクロのダウンジャケットを羽織る。



さてさて。



タイム計測のためにフロントフォークに取り付けたICタグを、返却しなきゃいけない。



ICタグ回収のテントはトイレの前にあり、そこから自転車の長蛇の列が、だだっ広いアスファルトと白線の平面のうえをぐねぐねとのたうっている。



うわぁ、こりゃあ時間かかるな。



「このタグ、前輪外せば取れるから、自転車は置いていこうか」



と、mark-na。
なるほど、ロードバイクの車輪は、レバーを起こすと簡単に外れるようになってるし、車輪を固定しているフロントフォークに凹凸はないから、別にニッパーで結束バンドを切らなくてもICタグは外せる。



あったまいーい。



さっそく車輪を外し、フロントフォークから引き抜いたICタグをポケットに入れて、自転車の列の最後尾に並ぶよこみちとmark-na。



他の選手たちはレースのカッコのままなので、自転車も押さずダウンジャケットを羽織るよこみちたちは場違いなほど浮いちゃってる。



ま、良いや良いや。
寒いんだし。



さいわい天候も回復し、気持ち良く晴れている。



自転車の行列の向こうは空。



紅の豚に似たようなシーンがあったなぁ、なんて思いつつ。
ほら、空の上で飛行機が一列に並んでゆっくり進んでいく、飛行機乗りのヴァルハラ(北欧神話の死後の世界)みたいな。



どれくらい行列に並んでいただろう。
ICタグ回収のテントをかすめるように、行列が大きく湾曲していて。



「あれ?」



テントの方を見ていたmark-naが何かに気付いたらしく、列を離れてテントへと歩み寄る。



あ、ちょっと。



列を離れるわけにもいかず、ひとり待つよこみち。



テントの辺りに消えたと思ったらすぐに引き返してきたmark-na。



「自転車からタグ外してあったら並ばんでええみたい」



何ですと!



どうやら、ICタグを取り外すための、ニッパー待ちだったらしい。



…おいおい。



またニッパー不足か。



そそくさと列を後にし、テントに駆け寄るよこみちとmark-na。



テントでは、ICタグと引き替えに完走証明書と参加賞と、ここでもまたバナナを貰えるみたいだったけど残念ながらバナナは売り切れていて、空箱だけだった。



参加賞は、Panasonicのロゴ入りプラスチックサーモマグ。



…でもどうせくれるんなら、電池とかの方が良かったなぁ。



ともかく、これであとは下山するだけ。



ふりかえると、自転車乗りのヴァルハラには、長蛇の列がいつ果てるともなく続いていた。