伊吹山ヒルクライム、後半戦
来年小学生になるイチヒメに、unoのルールを教えて一緒に遊んでたんですが。
わずか30分後には、園児に負けてうなだれる三十路男子。
いかがお過ごしでしょうか、よこみちです。
さて、何の臆面もなく先々週の出来事のレポートを書き続ける遅筆のよこみち。
ヒマな方はどうぞお付き合いください。
自転車で坂を登り続けるというストイックなレース、伊吹山ヒルクライムに参加したよこみちだったが、想像よりはるかに長い距離に戸惑いの色が。
いつになったらおわるんだ、コレ。
太ももも、ふくらはぎももうパンパン。
自転車がなんとか倒れないぎりぎりの速度を保ちつつ、ゆっくりと坂を登っていく。
そのわりには心拍数、呼吸はたいして乱れていない。
足の筋肉の持続力が足りないので、息があがるほど激しい動きができないだけなんだけど。
徐々に時間の感覚も麻痺してきて、余計なことを考える余裕もない。
ただペダルを漕ぐことだけを考えて。
右、左、右、左、
右、左、右、左、
傾斜がキツいところは、止まりそうなほどゆっくりと立ちこぎをしてやりすごす。
みぃぎいぃぃ〜、ひ、だ、りィ〜、み、ぎいぃ〜、
…ひィ、だァ、りィ〜、
立ちこぎのことを、ダンシング、と言うそうなんだけど、こんな今にも止まりそうなダンスなんて思い当たらない。
能楽?
シコが近いかも。
おすもうさんみたいに、右、よいしょおぅ、左、よいしょおぅ、みたいな。
…ダンスじゃないな。
際限なく続く上り坂に、身もココロも参ってきた頃。
ついに12km地点に到着。
去年は、残雪のためこの12km地点がゴールだったらしい。
残りはあと5km。
せっかくここまで一度も足をつかずに来たんだから、どうせなら最後まで足をつかずに行きたい。
12km地点からは、短いけどしばらく下り坂。
推進力を位置エネルギーに任せて、全身で風を感じる。
あぁ、キモチ良い。
レースであることも忘れて、遠くの山々に見とれる。
登ったなぁ。
ゆっくり感慨にひたる間もなく、束の間の休息は終わり。
むしろさっきまでより登りの傾斜がキツく感じられる。
ぐぐっ。
こんなところで挫けるわけにはいかない。
気力を振り絞って、ゆっくりゆっくり前へ。
何百メートルかおきに路肩にいるスタッフが、大声で励ましてくれる。
残りの距離は遅々として減らないが、地道に進んでいるのは確か。
永遠に近いほど微分されて間延びした時間の中で、自転車も自分自身も意識から消えて、ただ山と、悲鳴を上げる大腿筋だけがある。
あと2kmくらいだろうか。
よこみちを追い越していく選手のゼッケン番号だけが鮮明に見える。
もう、千番くらい違う。
くやしい、というレベルじゃない。
尊敬も通り越して、もはや畏敬の念に近い。
内腿辺りに違和感。
筋肉の真ん中に、ちょっと引っ張りすぎたタコ糸が入っているような、奇妙な痛み。
つりそうだ。
もう少しだから頑張ってくれ、と、自分の足にエールを送る。
以下次号。