「あかん、迷ったかも知れん」「ふーん、ソウナンだぁ(半笑)」
気がつけばもう年の瀬。
風邪などひいていませんか?
よこみちです。
mark-naと、箕面のBbに行ってきました。
ロッククライミングのマネゴトができるとこね。
mark-naは左の壁を登り切ったんだけど、よこみちの挑戦した右の壁は、オーバーハングの部分で極端にホールドが少なくて、残念ながらその先には登れませんでした。
そのあとも、どういう手順で行けば良いか考えたものの、腕のチカラが限界でそこまでたどり着けず。
…無念。
でも、片腕を垂らして握力を回復したり、こまめに足の位置を変えたりと、少しずつ上達はしてる、…はず。
握力の持久性がもう少し欲しいところですが。
さて、そんな体力の衰えを感じつつも山へと繰り出すよこみちの冒険活劇(ひつこい)、もうしばしお付き合いを。
地図のマヨウマークに若干怯えたものの、特に迷うこともなく分岐を南へ。
10mくらい進んだところで、急激に笹が茂っている。
どちらかといえばけもの道のようだと思いながらも、地図にわざわざマヨウマークがついてるくらいだから道がわかりにくくて当然だと変に納得しながら、笹を掻き分けて進むよこみちとmark-na。
笹が途切れ、杉ばかりの生えた急な斜面に出た。
前方に、赤いテープを巻き付けた木が一本見える。
「あの赤いテープが登山道の印やから、見失わんように気を付けて行くで」
わぉ、何て分かりにくい登山道。
もはや、けもの道ですらなくなってきた。
ここ最近、人が踏みこんだ形跡もない。
…大丈夫か?
それでも、赤いテープが巻かれた木のそばまで来ると、次の目印が少し先に見える。
あっちか。
赤いテープがなければ、ただの杉林としか思えない。
実際、もうすでに道と思われるものはなく、斜面のなかでも辛うじて歩けそうな部分を歩いているだけ。
まさか、この赤テープが何か違う目的のための目印だったらどうしよう。
背筋に冷たい風が当たったような、軽い悪寒が走る。
…保育所のお迎えに間に合わないかもしれない。
いや、それくらいで済めば良いけど…。
いやな予感を覚えつつも、さらに奥へ。
前を歩いていたmark-naがこっちを振り返り、首を横に振った。
「…あかんわ、この先はちょっと歩かれへん。
いったんさっきの赤テープまで戻ろう」
いやな予感は、徐々に大きくなって、やがて不安感にかわる。
「他に赤テープないか探して」
あ、あっちにもある。
谷側に、まだ行っていない赤テープを見つけたものの、その先も続いてるかどうかはここからは死角になってて見えない。
「ほなちょっと見てくるから待ってて」
とよこみちに言い残し、赤テープの方へと下りてゆくmark-na。
がさがさ
この赤テープは道しるべじゃないんではなかろうか、と疑いはじめたよこみち。
次第に小さくなるmark-na。
かさかさ
傾斜がきつくなっているらしく、よこみちの視界から消えるmark-na。
杉林でひとりじっと動かずに居るのは、思ったより心細い。
まだ日が差しているので、寒くもないし怖くもない。
でも、もしこのまま杉林で迷って日が暮れたら。
備えは、ほぼ無いに等しい。
すこしだけ残ったクッキーと、ほんの僅かの水。
寒さだって、レインウェアだけで凌げるかどうか。
時刻は3時過ぎ。
太陽の光はすでに弱々しく黄色味を帯びている。
やがて、よこみちのなかで不安感が焦燥感に変わりはじめた頃。
かさかさ
mark-naが見えた。
「そっち戻る〜」
やっぱりあかんかったんや。
がさがさ
「目印の鉄塔もないし、道らしいもんもないわ。
引き返して剣尾山の方から帰ろう」
うん、それが良いと思う。
とは言うものの、もはやどこを歩いてきたかも判然としない杉林。
太陽の光も、もう直接は届かない。
撤退を決意した三十路男子ふたりは、果たして無事に帰りつくことができるのか?
続く。