よこみち珍道中 剣尾山編 第6話 いわゆるひとつの危ない予感

よこみちの家の裏には、庭とは呼べないほどのスペースながら、一応土のみえているところがあるので、そこにハムスターのナキガラを埋葬しました。
イチヒメも悲しんでくれてると思ってたんですが、



「新しいハムちゃん買ってこよか」



うわあ、お約束どおりの現代っ子的模範解答。



みっちり説教してやりました。



つーか、ハムスターの世話は実質よこみちひとりでしていたので、悲しいのはよこみちだけやったみたいです。



…なんてこった。



ニタローは、
「はぅちゃん、ばばぃ」
と、しきりに繰り返してくれてましたが、たぶん理解はしてないでしょうね。



さて、そんなハムスターの死にも涙する、ナキムシ三十路男子よこみちがお送りする冒険活劇(どのへんが?)、こそっと再開。






剣尾山山頂でゆっくりしすぎて、時間的余裕がなくなってしまったよこみちとmark-na。
横尾山山頂の方に向けてくだりはじめた。



しばらく下りたところで、また上り坂に。



「横尾山は、剣尾山と標高が同じやから、今おりた分だけ登らなあかんで」



えっ、けっこう下りたで。



とは言うものの、ザックの中身はほとんど消費したので足取りは軽い。



道の左右には、2m弱の高さの、白っぽい筒が乱立している。
筒の太さはだいたい腕と同じくらいで、まっすぐ垂直に立ったその筒のてっぺんから、葉っぱが生えているものもある。



杉の苗木、…かな?
筒をかぶせて保護してるみたい。



「鹿の防護ネット用かな?」



え?
この苗木のこと?



「夏にはネットを張るんかな」



よこみちの位置からは見えない杭でも見えてる?



もしかして苗木のこと言ってる?



よくわからなかったので、なんとなくスルーしてしまうよこみち。



…ま、良いや。



急な坂を登ってしばらく行くと、5m四方くらいはある大きな看板のようなものの裏側をかすめるように道が続いている。



看板?



にしちゃあ、別に向こうに道があるわけでもなく、その看板が見える位置には村落すらない。



なんだこりゃ。



「反射板らしいけど、何のために何を反射してるかは知らんなぁ」



ふーん。
なんだろうね。



さらに行くと、分岐点らしきところに到着。



おお、山頂?



地図を取り出して確認するmark-na。



「山頂から南に向かって、と。…あ、マヨウマーク付いてるわ」



マヨウ?



地図をのぞきこむと、マルに【迷】の字が。



…うーん。
地図にそう書いてあると何か怖いな。



アタマの後ろ辺りをよぎる不吉な予感。



いやいや。
大丈夫大丈夫。



そう自分に言い聞かせるよこみちであった。



続く。