想定の範囲外
ニタローがまた熱を出しました。
毎月熱出してるなぁ。
ひ弱で困ります。
まったく誰に似たんだか、…あ、俺か。
一姫二太郎とはよく言ったもので、確かに一人目でこんなに熱出されたら、気の休まる暇がない。
ま、大変には違いないけど、気の持ちようが違うというか。
さて、よこみちの富士顛末記、とうとう下山です。
はぁはぁ。
息は荒い。
爪先とスネが痛む。
もうちょっと。
そう思いながら先を急ぐものの、なかなかバス停にたどり着けない。
さすがに我慢できなくなって、ちょっとペースを落とそうとしたその時、不意に広い場所に出た。
バス停、か?
乗用車が端の方に数台駐められている。
駐車場だ。
着いた!
レストハウスの左右に、バスを待つためのベンチが並んでいる。
その屋根つきの待ち合い場所の前に、夢にまで見た(過言)バス停が。
駆け寄るふたり。
バスを待つ人はいない。
どうやら5時20分のバスは行ってしまったようだ。
時刻は5時35分。
まぁ、ちょっと予想してたけど。
次の便は何分に来るのかな、と。
時刻表を覗き込むふたり。
一番下には、15:20とある。
「6時20分か。まだだいぶあるなぁ」
え、ちょっと待って。
15:20て、3時20分やん!
全然間に合ってない!
時間を書き込んである資料を取り出し、愕然とするmark-na。
「ごめん。
時間違うとこ見てたみたい。
電車の方の時間やった」
辺りには人の気配もなく、レストハウスも入り口のドアにカーテンがかかっている。
そういえば、一緒に小走りしてくれたおっちゃんは、いつのまにかいなくなっていた。
自家用車で来たはったんやろか。
む、無念。
あんなに急いだのに。
一瞬、気がとおくなるような気がしたよこみちだった。