日の出
こないだ仕事の空き時間に、羽曳野の方の道の駅【あすかてくるで】てとこに寄りました。
新鮮なくだものと野菜がいっぱいで、ちょっと興奮。
泉州特産の水なすが安かったので買って帰ったんですが。
生のまま手で割いてポン酢をちょっとかけたら、うまいのなんの。
また仕事の合間に寄れたら、今度はたくさん買ってこよう。
さて、よこみちの富士山レポート、ようやく2日目に突入です。
「mark-naさん、起きてください」
すぐ枕元で、男性がささやく声がする。
よこみちの肩を、誰かが軽くゆさぶる。
うーん、もう朝か。
薄暗いなか、上体を起こしてしばらく静止。
頭のなかでLoadiogの文字が浮かぶ。
はいはい、今起きますよ、っと。
ようやく読み込みがおわり、現状を把握。
そうそう、富士山の7合目の山小屋に泊まって、日の出前に起こしてもらう、って算段やったね。
さて。
足元の壁にかけた荷物を持って、静かに寝室の外へ。
もうすでに山小屋のなかは、窓から入る夜明け前の光でうっすらと明るい。
御来光、はっきり見えそうだ。
上着を羽織り、山小屋を出る。
うわぁ。
凪いだ海のようになめらかな一面の雲海。
その真っすぐな水平線は山吹色に輝き、その上には、新たな一日を予感させる、まばゆく淡いセルリアンブルーの空。
それが上にいくにしたがって急激に青色が濃くなり、頭の上には宇宙を思わせるほど黒い青。
くぁあ。
今まで30年間生きてきたなかで、これほど美しい夜明けを見たことがあったろうか?
水平線近くの空がしだいに眩しく白くなってゆく。
いよいよ太陽が登る。
山小屋の前に並んだ人たちの、そんな願いにも似た期待を孕んで、雲海と空との境界線が黄金色に輝きはじめる。
空はもう明るい。
宇宙が透けていた頭のうえにも、鮮やかな青。
その火柱の根元から。
胸が苦しくなるほどの予感。
小さな光点が。
あっという間に大きくなり。
強い山吹色の光が。
眩しいのに、目が離せない。
あぁ。
もう俺、死んでも良いや。
この重い体を置いて、どこまでも広がる雲海の上を、いつまでもあの光に向かって飛んでいきたい。
「コーヒー淹れよっか」
mark-naの声で、我に返るよこみち。
お湯を沸かしている間にも、刻一刻と変化してゆく風景。
こんな綺麗な朝焼けを見ながら、挽きたてのコーヒーを飲む。
もう、これ以上なにを望むか、ってなほどに満足。
あ、そうだ。
せっかく感動した日の出で、ひとしきり遊んだよこみちでした。