ベッドというより、在庫を置く棚

上の子も、下の子の夏風邪をばっちりもらって、ふたりで熱出してます。
て、天文台に行く予定が…(涙)



さて、よこみちの富士山道中記(毎回名前ばらばらやな)いよいよ2日目に突入、と思わせといてまだです。






山小屋の前で月見コーヒーを堪能するよこみちたち3人。
その3人が陣取るベンチと山小屋の間の狭い通路は、登山道の一部なわけで。
さっきから引っきりなしに、ヘッドランプを点けた登山客たちが通り過ぎてゆく。



山頂で御来光を見るために、夜通しで登るんやな。



岩場とか、あんなちっちゃいライトだけで大丈夫なんやろか?



見れば、小学生くらいの子が頬を紅潮させて、肩で息をしながら通り過ぎてゆく。



大丈夫かな?



無理して、高山病になったりしなきゃ良いけど。



時刻はまだ午後9時前。
とはいえ、富士山の夜はやっぱり冷え込むので、あんまりベンチに長居もできない。
明日に備えてさっさと寝よう。



引き戸をあけて、山小屋の中にはいる。



からから。



コーヒー用品をザックにしまうmark-na。
山小屋のお兄さんが近づく。



「御来光は、頂上で御覧になられます?」
「あ、いえ。
ここでも御来光は見えるんですよね?」
「ええ、きれいに見えますよ」
「日の出は何時頃ですか?」
「4:40くらいですかね。
では、4時ごろにお起こししましょうか」



あ、起こしてもらえるんですか。
助かります。



「では、4時にお起こししますね。
そういえば5合目の駐車場、混んでたらしいですね」
「そうなんですよ、路上駐車が多くて…」
そうそう、あれはひどかった。
何とかなんないもんですかね?
「そうでしたか。
あそこは有料道路だから、警察も駐禁をきるにきれないそうですよ」



そうやったんか、3の倍数呼ばわりして、悪いことをした。



「どうも事故があったらしくて、今日とまられるお客さんがけっこう遅れてるみたいで…」



そりゃあ確かにあの状況だと事故も起こるわな。



「じゃ、寝室の方にご案内します」



あ、寝室あったんや。
さっきごはんを食べたこの板間に、布団を敷いて寝るものだとばかり思っていたよこみち。



ザックを持って、板間の奥にあった扉の奥へ。



おお。



暗くて良くはわからないが、部屋の真ん中に人ひとりがやっと通れるほどの通路。
その両側には、おでこくらいの高さに、一枚板の大きな棚が部屋の奥まで続いている。
で、その棚の下には、スネくらいの高さに、これまた部屋の奥まで棚状のものが。



二段ベッド、ていうんかなコレ?



良く見ると、通路側にずらりと隙間なく枕が並べてある。



「こちらと、こちらの枕をお使いください」
部屋の真ん中辺りの、下の段を指し示す山小屋のお兄さん。



あ、はい。
荷物は?



「足元に釘があるので、そこにかけてください」



はーい。



静かに去ってゆくお兄さん。



足元にくぎ、くぎ、くぎ…



暗いなか、手探りで壁のくぎを探す。



くぎくぎ…あ、あった。



釘にザックをかけ、横になったよこみち。



よこみちとmark-naの入った棚には、ほかには誰もいないみたいだ。
運が良かったみたい。
枕と枕が異様に近いから、もし混んでたら見知らぬひとにうでまくら状態になりそう。



どこかで、誰かが寝返りをうつ音が聞こえる。



小さな話し声も聞こえる。



あぁ、確かに神経質なひとなら、なかなか寝付けないかも。



そう思うが早いか、急速に眠りに堕ちてゆくよこみちだった。