そして長い一日はようやく暮れる
前回の雰囲気を壊さないため、あえて2回にわけました。
ついに最終回。
さて、雨もあがって快調に進み続けるふたり。
やがてあたりはうっそうと茂る薄暗い森へとかわってきた。
この辺りはハイキングコースが入り乱れていて、よこみちみたいな素人が地図もコンパスもなしで入って良いような森じゃあない。
相変わらずmark-naに頼りきりなのだが。
おいおい、ちょっと茂りすぎやないか?
こりゃあいくらなんでも間違ってるんちゃう?
地図を確認するmark-na。
「…合ってるなぁ」
ほらやっぱり間違って…え?
こんな茂ってるとこ通んの?
がさがさ
しばらく行くと道標が。
ほんまに合うてたんや。
勘に頼って歩いてたら遭難してたな。
そんなこんなでまた何度かの分岐で悩んだり、何度か川を渡ったりしながら森のなかを歩いてると、しだいに陽の光も弱くなってきた。
そろそろ旅も終わりか。
よこみちがちょっと油断したその時。
「ヘビおるで、気ィつけや」
おお、体長50cmくらいの黒っぽいヘビが、すべるように山道を横切っていく。
どやった? 六甲。
ええとこやったやろ?
そんなふうに言われているような気がしたよこみち。
ヘビはゆっくり何食わぬ顔で通りすぎてゆく。
まもなく整備された森林公園へと出たふたり。
旅は急速に終わりを迎える。
靴下を絞り、雨ガッパを脱ぐよこみち。
靴の中にはまだ水がいっぱいで、ぎゅぽぎゅぽいわせながら舗装された道を歩く。
もちろん服もパンツまでびしょびしょ。
さっきまで気にならなかったのに、舗装された道に出たとたん襲いかかる不快感。
早く温泉入りたい!
ほどなく金の湯に辿り着いたふたり。
ここは大衆温泉みたいなもので、有馬のあの真っ赤いけの温泉なのに650円で入れちゃう。
山歩きのあとに温泉。
ん〜、地球に生まれて良かったぁ〜っ!
風呂上がりでさっぱりしたからだに、ぺったり張りつく濡れたズボン。
替えの短パンでも持ってくれば良かった。
まぁ速乾性だからしばらく我慢すれば良いか。
あ。
靴濡れてる。
恨めしげに登山靴をにらむよこみちを尻目に、涼しげなサンダルばきのmark-na。
その手があったか。
帰りのバスに揺られながら、
次は絶対サンダル持っていく!
と心に誓うよこみちなのであった。