最後の伏兵、新幹線
どうも。
基本寝不足のよこみちです。
最近ニタローを寝かし付けるのに、昔話や童話を話して聞かせているんですが、これが案外難しい。
大筋を覚えてるつもりで話し始めても、途中でニュアンスがわからなくなって適当になったり、結末を全然覚えてなかったり。
ふと思いついて落語を話し始めたら、これがまたすごい難しい。
うろ覚えでできることじゃないですね。
さてそんな話術すらいまひとつな凡人、よこみちのお送りしていた富士回顧録、ついに最終回です。
駅の売店でお土産を物色するよこみちとmark-na。
富士山行ってきました、て感じのお菓子を期待してたんだけど。
ないなぁ。
「あんまりゆっくり選んでるヒマないで」
うう、仕方ない。
抹茶味のお菓子で、お茶を濁しとこうか(本人は上手いこと言ったつもり)。
弁当も、なんだかコンビニ弁当みたいで、あんまり品揃えが…。
妥協して、適当に弁当をえらぶよこみち。
あ、れがから返信や。
『んー、ちょっと遅いけどそれなら良いで』
やった、新大阪からは車で帰れる(違)。
「11時過ぎと10時50分て、あんま変わらへんやんなぁ」
ぼそりと呟くmark-na。
まぁええやん、来てくれるんやから。
弁当を持ち、ホームへと急ぐふたり。
ホームには、意外と多くの人。
あれ?
さっき慌ててコンビニ弁当みたいなん買ったのに、ホームのキオスクに、旨そうな駅弁が売ってるやないかーい。
お土産もちょっと売ってるし。
むぅ、焦りすぎたか。
それにしても、これで富士山の旅も終わりやね。
長かったなぁ。
何か、ひと回り大きくなれた気がする。
早くも回想に耽るよこみち。
何度か死ぬかと思たな。
あの霧のなかとか。
「おぉ、アレ怖かったな。
どこまでも続きそうで。
下りの高山病も死ぬかと思たわ」
そうそう。
さっき電車で、娘と一緒に登ったおっちゃんが言うてたもんな。
頂上で酒なんか飲んだらアカン、って。
やっぱりビールが引き金で高山病になったんやな。
降りてきたらぴんぴんしてるもん。
うーん、てっぺんビールは格別に美味いのになぁ。
そのあと泊まる予定なら大丈夫なんやろか?
ホームに、新幹線が到着した。
ん?
結構混んでるな。
座れるやろか?
ぷしゅー。
新幹線に乗り込んだものの、座席が空いてない。
うわぁ、まいった。
座席の間の通路に立って、愕然とするふたり。
とても弁当なんて食べらんないな。
それより、3時間ちょっと立ったまま?
通路は狭いので、すぐ横に座ってる人に、汗臭いって思われ続けるはめに。
何とかならんか…。
弁当も食べれず、臭いと思われながらずっと立っとくなんて。
落ち着かないまま十数分が過ぎた。
すこしあきらめかけたよこみち。
するとその時。
「次はぁ、静岡ぁ」
降りる準備をはじめる人たち。
やった、座れるかも。
静岡駅があったおかげで、なんとか席につけたよこみちとmark-na。
これでご飯が食べれる。
さっき8合目で買ったお茶が残ってたので、取り出すよこみち。
あ!
スレンダーになってる!
こんだけ気圧がちゃうんやねぇ。
ぷし。
軽い音とともに、劇的にリバウンドするペットボトル。
食事も終え、再びスイマーと戦いながら新大阪へ。
れがに、新大阪のどこに車を寄せるかのメールを送った直後、電池が切れてよこみちの携帯は完全に沈黙。
新大阪に着き、すこしはらはらしながら待っていると、無事にれがと合流。
「電話かけたけど、つながらんかったぞ」
ごめんごめん。
次からは予備の電源、用意しとくよ。
よこみちとれががよく行く銭湯に向かう3人。
2日分の汗と汚れを洗い流し、湯船に浸かっていると。
つい何時間か前まで富士山にいたのが、ウソみたい。
湯けむりが、大砂走りの霧を思い出させる。
「なんか、気付いたらまだあの霧のなかやったりして」
あはは、もう勘弁してくれ。
ようやく、富士山から無事に帰ってきたことを実感したよこみちだった。
おしまい。