富士はまだ遠く

さぁ、いつになったら富士山に登りはじめるのか。
よこみちとmark-naの珍道中はまだ始まったばかり。






富士山に向かうバスで渋滞に遭遇したよこみちとmark-na。



「まだマイカー規制されてないからなぁ」



あ、そういうのがあるんや。



…いやいや、ちょっと待て。
この調子で5合目まで混んでんの?
まだちょうど半分くらいしか来てないよね?
ここまでで大体1時間かかってるから、それと同じ距離が混んでたら…。



しょっぱなから夜間登山、かな」



いやいやいやいや!
ヘッドランプは持ってきたけど、心の準備が!



mark-naは、すでに夜間登山に備えてか、抱え込んだザックに突っ伏して沈黙した。



よこみちは、さっきからほとんど進んでいない車窓をぼんやりと眺め、静かにため息をついた。



もうかれこれ30分はそうしていただろうか、よこみちもそろそろ夜間登山を覚悟しはじめた頃。



左手にサーキットが見えた。
駐車場にはたくさんの車がとまり、サーキットにはカートが走り回っている。



ふーん、何かのイベントかぁ。



サーキットを通り過ぎた頃、ふいにバスが快調に走りだした。



あ、もしかして。



さっきのイベントで混んでたのか。



快適なスピードで走り続けるバス。



良かった、夜間登山しなくて良いみたいだ。



とりあえず安心したものの、マイカー規制はされてないので、5合目付近で混雑してるのは確かだけど。



そうこうしてるうち、山中湖がみえてきた。
湖畔の道路を、ロードバイクやジョギングの人たちが気持ち良さそうに走っていく。
良いなぁ。



けっこう大きな湖で、波もなく静かな水面にスワンボートがたくさん浮かんでいる。


「調子のってスワンボートで向こうの方まで行ったら…」
戻ってくんの大変やんな。
もうそら相当たいへんやわ。



よく見ると、1隻やけに大きなスワンボートが。



ちょ、あれ。
親玉がおるで。



フェリーくらいありそうなスワンが、対岸近くをゆっくり旋回していた。



でか!



ちょちょちょ、首んとこ意味なくね?



こういうしょーもない事でテンションのあがる三十路男子約2名を乗せて、まだバスは走る。



つづく。